グランピングを歴史から見る。

グランピングを歴史から見る。

 

唐突な話ですが、歴史って好きですか?

あって当たり前のもの、例えばいま私がパソコンのキーボードを叩いている横にある冷めたコーヒーの注がれたマグカップ。いつも何気なく使うマグカップの起源を掘れば、約1万2000年前 – 新石器時代の[土器]までさかのぼります。 現在確認された一番古いカップは、日本や中国の地層から発見されました。 つまり一見海外から入ってきた文化のように思えますが、起源は日本にあるのです。ちなみに取っ手が初めて付いたのは、約7000年前のギリシャです。

このように身近なモノひとつとっても長い歴史があったりするものです。先人たちの創りあげたモノや文化が長い時間を経て、今私たちの周りに新しい姿で共存しているって面白いですよね。今回は、いま注目のアウトドアシーン、「グランピング」にフォーカスして歴史を掘り下げてみようと思います。

 

グランピングはいったいどこから来たのでしょう、そしてどこへ向かうのでしょうか。足跡をたどれば見えてくる時代背景と人の流れ。歴史の紐を解いていくことは、本当の姿を理解する上で欠かせない消化ツールでもあるのです。

いま世の中では「モノ消費 – 所有」よりも「コト消費 – 体験」を良しとする価値観の動きがあります。この時代の流れが、今日の「グランピング」を盛り上げているように、時代と価値観には相互性があるといえるでしょう。

 

起源と発祥

 

グランピングの歴史を掘り下げるにあたって、[産業革命]という言葉を避けては通れません。

18世紀後半から19世紀前半にかけてイギリスを中心に起こった産業革命非常に長くゆるやかな変化でしたが、綿織物の生産過程における様々な技術革新、製鉄業の成長、蒸気機関の開発による動力源の開拓が社会に大きな変革をもたらしました。これによって工場制機械工業が成立し、また蒸気機関の交通機関への応用によって蒸気船や鉄道が発明されたことにより交通の面でも大きな変化がありました。産業革命後の社会の姿は激変していました。

工業化による恩恵を受け始めた上流階級の者たちの収入は増加し、週休という概念も生まれました。生活は豊かになり、余暇を手にした彼らはその時間の使い方を模索して、ひとつの解を導き出しました。

- 余暇を利用して都市から外へ向かおう。 –

この趣向が19世紀初頭のヨーロッパ、裕福な暮らしを手に入れた富裕層やセレブの間で大ブームになり、度々郊外へ出かけたといいます。今の言葉で言うピクニックみたいなイメージでしょうか。

 

ここから、「グランピング」を語る上で外せないもうひとつのキーワードが出てきます。

それが、【 ルイ・ヴィトン 】です。

グランピングの歴史はルイヴィトン!?

ヨーロッパの富裕層やセレブ達が郊外に出かける際に利用していた交通手段は馬車でした。産業革命による彼らの動きに歩幅を合わせるかのように、19世紀半ばとあるラグジュアリーブランドが姿を現しました。現在の世界的ブランド、「ルイヴィトン」です。

1837年、当時16歳のルイ・ヴィトンはパリにいました。マレシャルというトランク製作者の元で、見習いを始めます。この職人のもと、ルイ・ヴィトンは抜きん出た才能を発揮しました。フランス皇室からの受注など、フランス随一の職人にまで上り詰め、マレシャル氏のアトリエで重宝される職人となった彼は、1854年 – 33才にして独立。当時高級ブティックが建ち並んでいたパリ・カプシーヌ通りに店を構えたのです。産業革命により発達し始めた交通手段にいち早く目をつけるルイの先見の明が、平で頑丈、かつ防水で、持ち運びやすいトランクを生みだしました。使いやすさを追求したトランクを富裕層達がこぞって買い求めたそうです。

手に入れたヨーロッパの貴族達は、大自然を求めて植民地だったアジアやアフリカ諸国へ出かけます。蓋が平らなトランク、その存在が人々の暮らしを大きく広げたことは間違いありません。そして、グランピングの世界への扉も、このとき開かれたのでした。やがてヨーロッパでは近代キャンプが誕生。イギリス、フランスを中心にレジャーの宿泊手段としてキャンプが行われるようになるのです。

 

キャンプの文化は米国へ、そして英国へ逆輸入

ヨーロッパで工業化が進み「自動車」が生まれた頃、アメリカでもヘンリー・フォードがガソリン自動車(T型フォード)を誕生させました。このT型フォードは爆発的に売れることによって、アメリカではキャンプと自動車が伴うスタイル – 「オートキャンプ」ブームが巻きおこりました。あのエジソンもフォードらと毎年行なっていたみたいですね。

車とキャンプが結びついたこのスタイルは、もちろんヨーロッパでも広がりました。目的地では、宿泊のための巨大なテントや現地にあるキャビンにお気に入りの道具を並べ、優雅なダイニングで現地の食材を使い食事に在り付く。20世紀半ば、すでにグランピング・スタイルは確立されていたのでした。

そして時は流れ、20世紀後半のこと。世界のファッションデザイナーや作家、アーティスト達が自由な発想を得るため、大自然の中にリラックスできる空間を求めました。そう、騒然な日常から離れるというグランピングのテーマはここからきたのです。この洗練されたトレンドが今と繋がっています。

グランピングは、個性の時代へ。

21世紀になった今、誰もがグランピングを取り入れることができるようになりました。どう自分好みの空間にするか、どんな種類のグランピングを選んで、どんな夜を大自然の中で過ごすのか、全ては自分次第であって正解なんてないのです。グランピング文化に、個性の時代が到来したと言ってもいいでしょう。年々施設も増え、可能性も選択肢も増え続けているグランピングに目が離せません!

 

そう、グランピングは歴史を辿って選べる時代なのです。